ホーム > 本の紹介「新しい介護学 生活づくりのシーティング」

「新しい介護学 生活づくりのシーティング(雲母書房)」という本があります。送ってくださったのは、白雪姫プロジェクトの光野有次さんです。この本は理学療法士をされ、「新しい介護」や「リハビリ体操」の著者でもあられる三好春樹さんと、「福辺流 力のいらない介護術」を書かれた福辺節子さん、そして、我らが光野有次さんの三人の共著です。

「シーティング」って何でしょうか? まえがきに書いてあります。本のまえがきを、ここにそのまま載せさせていただきます。

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 シーティング、つまり、どう坐るかという考え方と方法を介護現場に伝えたいと強く思って、この本は世に出された。

 私たちにとっては、坐るということは、とくに意識することもなく日常的に行っていることである。しかし障害や老化のある人にとってはそうではない。

 障害や老化をともなった人たちは、ちょっとしたきっかけで“寝たきり”になる危険性を持っている。そうならないため、あるいは、そうなったときに、そこから脱出するための出発点がこの「坐る」ことである。

 ところが、椅子も車椅子も、日本の障害や老化のある人には合ってないのだ。そもそも小柄な日本人の体格に合ったものすら存在していないのである。だから私たちは、西洋からやってきた椅子や車椅子を日本人にうまく適応させるということから始めねばならない。その上で、障害や病気の特性、老化のレベルを考えて、一人ひとりのシーティングを手作りしていかねばならないのだ

 幸いなことに、介護現場の頑張りによって、寝たきりの人を「坐位」によって生活の主体へと再建することの大切さは広まり、定着してきた。だからこそ、シーティングの知識と技術が切実に求められている。

 本書で私は介護の立場から「坐位」の必要性を訴えた。福辺節子さんは理学療法士としての知見を介護現場に納得する形で熱く伝えてもらった。さらに、長年、障害児者の生活づくりの中でシーティングの重要性を訴え実践してこられた光野有次さんに、その考え方と貴重な体験、情報を伝えてもらった。

 ぜひ、この本をきっかけに、私たちと共に、介護現場を変えていく実践に乗り出していただきたいと思っている。

 この「生活づくり」と冠したシリーズもこれで4冊目になった。さらに充実させていきたいと思っている。

三好春樹

 まさに、白雪姫プロジェクトにはすごくすごく必要な本だと思いました。まえがきの中で、「座位」によって生活の主体へと再建することの大切さは広まり定着してきたという文章があります。きっとずいぶん変わってきてはいるのだと思います。けれど、実際のところ、まだまだこれからという気持ちもします。いろいろな実情から、ベッドに入ったまま24時間寝たきりの状態ですごしておられる方は、本当に本当に多いと思います。

 もし、きちんとした「座位」をとる時間が確保されていけば、もし、誰もが思いがあるし、思いを伝え合うことは何より大切なことだと言うことが広まっていけば、きっと変わっていくことがいっぱいあるはず。

 そして、決してこのことは人ごとではないのです。
今、元気でも、明日、自分や家族や愛する人が、今の医療環境の状態で、意思を伝えられない状況にならないとも限らない。

 ぜひ、白雪姫プロジェクトでもこの本を大きく紹介していきたいです。
この本の中をちょっと拾っても、宮ぷーにとっても今必要なことばかりです。たとえば…

『食事姿勢は前かがみの姿勢がもっとも誤嚥しにくい。生理学的根拠に基づいた姿勢である』

 宮ぷーが前かがみになるとなぜむせるのかということが最初はわからなかったのです。でも、最近は、前かがみになったとたん気切があたっているからだとわかりました。そんなことも、わからないまま知らないままにいることはとても残念なことですものね。

『排泄姿勢についておはなしする前に、一つだけ言っておきたいことがあります。それは、おむつ交換は排泄ケアではない、ということです。排泄ケアの基本はお年寄りがトイレで排便、排尿することを助けてあげることです。これが私たちの目指す生活づくりの介護です』

 宮ぷーは排便したい感じ、排尿したい感じがわかります。部屋にはトイレもあります。でも、私がそばにいつもいても、今は、尿は尿器でとれているけれど、便は、おむつでしてもらっています。小さな便器を体を横向きにして入れることもしてみましたが、体が痛かったり、横向きだと便がうまく便器に入らないでいました。車いすにすぐに乗れて、そして、トイレにも座ることをどうにかしてできないか、考えてみようと本を読み思いました。

 また、先日、パンテーラの車いすの車軸を少し後ろに動かしたり、足のせを工夫するだけで全然こげない状態からこげそうな状態へと変わりました。そのことについても詳しく本では紹介されていました。ぜひ、みなさん手にとってじっくり見ていただきたいです。

(山元加津子)

■新しい介護学 生活づくりのシーティング
http://www.amazon.co.jp/dp/4876723141